やわらかさは、機能の重なり方への柔軟性でもあるので、規定することによってこぼれ落ちがちな、連続的で複合的な生活行為や、曖昧で中間的な性質の生活行為を受けとめるとともに、家族の行為の場が重なり合うことによって、家族の一体性を育むことになる。さらに、たとえ閉じられていても互いの気配の感じられる住空間は、家族の一体感を感じさせるものであり、そればかりでなく、老人を介護する、子供を育てる、といった家族の機能を果たしやすい、見守り、見守られるための条件の備わった空間であるといえよう。
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個人や家族の変化に柔軟に対応し得る住空間は、季節の変化や年中行事など、状況に応じて住みこなせる豊かさをもつことだろう。かつての季節ごとのしつらえは伝承された住文化の賜物であった。その伝承者として、老人は貴重な役割を果たしてきたのである。このようなやわらかな住空間が可能にし、必要とするのは、部屋の特徴を読みとり、部屋の用途を状況に応じて変化させる住み方、言い換えれば、住空間の主体的な住みこなしである。それはかけがえのなさも生みだす。自らが働きかけたことによって、住まいに、その人や、その家族の時間が蓄積されるからである。使いこんだ道具や思い出の品も老年期の住まいにやすらぎをもたらすものである。